整形外科、リハビリテーション科、皮ふ科

整形外科 − からだの症状 −

からだの症状

首が痛い

頚椎症

症状

50〜60歳代の男性に多く、首の痛みだけでなく腕や手のしびれ・痛みを認めます(頚椎症性神経根症)。悪化すると、字を書いたり、お箸を使うのが困難になり、歩くのも支障を来します(頚椎症性脊髄症)。

原因

加齢により首の骨(頚椎)の変形を認め、神経を圧迫することで症状が起こります。神経の圧迫される部位により、神経根症や脊髄症を引き起こします。

検査

痛みやしびれの部位や筋力の低下、神経の異常所見がないかを診察します。
レントゲン検査で首の骨(頚椎)の変形の度合いを評価します。MRI検査では神経の圧迫を評価します。

治療

神経根症の場合は、保存療法が基本になります。

内服治療
痛みを軽減するために消炎鎮痛薬や、神経障害性疼痛の薬を内服します。
リハビリテーション
物理療法は、温熱療法や低周波治療などの電気刺激治療を行います。
理学療法士による運動器リハビリテーションは、日常生活の指導や首・肩周囲のリラクゼーション、ストレッチの指導を行います。
手術療法
筋力低下や痛みが著しい場合や、頚椎症性脊髄症で症状の進行を認める場合は、手術が必要になる可能性があり、その際は適切な専門病院へご紹介します。

頚椎椎間板ヘルニア

症状

30〜50歳代の男性に多く、首・肩・腕に痛みやしびれを認めます。進行すると、字を書いたり、お箸を使うのが困難になり、歩くのも支障を来します。

原因

首の骨(頚椎)をつなぐクッションの役割をしている椎間板が、主に加齢により後ろの飛び出し、神経を圧迫することで症状が起こります。

検査

痛みやしびれの部位や筋力の低下、神経の異常所見がないかを診察します。
レントゲン検査で首の骨(頚椎)の変形がないか評価します。MRI検査では椎間板や神経の圧迫を評価します。

治療

まず保存療法が基本になります。

内服治療
痛みを軽減するために消炎鎮痛薬や、神経障害性疼痛の薬を内服します。
装具治療
痛みが強い場合には、安静にするために頚椎カラー装具を用います。
リハビリテーション
物理療法は、温熱療法や低周波治療などの電気刺激治療を行います。
理学療法士による運動器リハビリテーションは、日常生活の指導や首・肩周囲のリラクゼーション、ストレッチの指導を行います。
手術療法
症状の改善がなく、筋力低下や痛みが著しい場合には、手術が必要になる可能性があり、その際は適切な専門病院へご紹介します。

頚肩腕症候群(肩こり)

症状

若い女性や長時間のパソコン作業などをする方に多く、首・肩・背中・腕などに痛みやだるさ、しびれなどを認めます。

原因

原因が特に明らかでない場合もあるが、同じ姿勢での長時間の手を使う作業(パソコン業務など)やストレスなどが原因となり、僧帽筋や肩甲挙筋という、首から肩周りの筋肉が固くなり痛みを引き起こします。

検査

レントゲンなどを行い、首や肩に他の病気がないか判断します。

治療

保存療法が基本になり、内服治療、注射、リハビリテーションなどを組み合わせて治療を行っていきます。

内服治療
痛みを軽減するために消炎鎮痛薬や、筋肉の張りを改善する薬などを内服します。
注射
ハイドロリリースが効果的なことも多く、僧帽筋と肩甲挙筋の間に薬液を注入していくことで症状が緩和します。超音波を用いて正確な注射を行います。
リハビリテーション
物理療法は、温熱療法や低周波治療などの電気刺激治療を行います。
理学療法士による運動器リハビリテーションは、日常生活や長時間の作業中の姿勢の改善や、首・肩周囲のリラクゼーション、ストレッチの指導を行います。早期から適切な訓練を行うことで症状が早く改善します。
【画像】頚肩腕症候群(肩こり)

肩が痛い

肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)

症状

40〜50歳代に多く、症状により以下の3つの時期に分かれます。

  1. 急性期:肩の周りの痛みが強く、夜や安静にしていても痛くなります。
  2. 慢性期:痛みは楽になりますが、肩の動きが悪く日常生活の動作も困難になります。
  3. 回復期:徐々に動かせる範囲が広くなり、動かした時の痛みも改善します。

原因

中年以降に特に多く、原因は様々です。肩関節を構成する骨・軟骨・靭帯・腱などが加齢により周りの組織と炎症を起こすことが主な原因です。

診断

痛みの部位や、関節の動きなどを確認します。
レントゲン検査や超音波検査などを行い、他の肩の病気(変形性関節症、石灰性腱炎や肩腱板損傷など)を除外します。

治療

保存療法が基本になり、内服治療、注射、リハビリテーションなどを組み合わせて治療を行っていきます。

内服治療
痛みを軽減するために、消炎鎮痛薬などを内服します。
注射
痛みの原因になる部位は複数あるため、痛みのでる動作や部位、可動域などを考慮して、超音波を用いて正確な注射を行います。ヒアルロン酸注射やステロイド注射、ハイドロリリースなどを行います。
リハビリテーション
物理療法は、温熱療法や低周波治療などの電気刺激治療を行います。
理学療法士による運動器リハビリテーションは、可動域訓練やストレッチの指導を行い、早期から適切な訓練を行うことで症状が早く改善しやすくなります。

肩腱板断裂

症状

40歳以上の男性に多く、肩を動かした時の痛みや、夜や早朝などにも痛みがあります。

原因

腱板には4本の腱があり、加齢により腱が痛んで断裂したり、若い年齢ではケガが原因になることもあります。

【画像】肩腱板断裂

診断

痛みの部位や関節の動きなどを確認します。
レントゲン検査で腱板の通り道に異常がないか確認します。超音波検査では断裂した腱を確認したり、より詳しく評価する場合には、MRI検査を行います。

治療

急性の断裂やケガが原因の場合には、まず安静を行います。

内服治療
痛みを軽減するために、消炎鎮痛薬などを内服します。
注射
原則、超音波を用いて正確な注射を行います。ヒアルロン酸注射やステロイド注射、ハイドロリリースなどを行います。
リハビリテーション
理学療法士による運動器リハビリテーションは、断裂していない腱板の機能を強化することで、痛みや可動域の改善を目指します。
手術療法
上記の保存療法で症状が改善されない場合には、手術が必要になる場合があります。その際は適切な専門病院へご紹介します。

腰が痛い

腰部脊柱管狭窄症

症状

中高年の方に多く、腰痛・下肢のしびれや痛み、長い距離を続けて歩くのが難しくなります(間欠性跛行と言います)。進行すると、下肢の筋力が落ちたり、尿の出が悪くなったり、尿が漏れてしまうこともあります(膀胱直腸障害)。

原因

加齢による背骨の変形などで椎間板や骨などが突出して、脊柱管(神経が通るトンネルです)が狭くなり、その中を通る神経が圧迫されることで発症します。

【画像】腰部脊柱管狭窄症

検査

痛みやしびれの部位や筋力の低下、神経の異常所見がないかを診察します。
レントゲン検査で腰の骨(腰椎)の変形がないか評価します。MRI検査では椎間板や神経の圧迫を評価します。

治療

保存療法が基本になります。内服治療、注射、リハビリテーションなどを組み合わせて治療を行っていきます。

内服治療
痛みを軽減するために消炎鎮痛薬や、神経障害性疼痛の薬、血管拡張薬(血管を広げて神経への血流を促します)を内服します。
注射
ブロック注射は当院では仙骨硬膜外ブロックを行います。腰痛が強い方にはハイドロリリースなども行います。
リハビリテーション
物理療法は、温熱療法や低周波治療などの電気刺激治療を行います。
理学療法士による運動器リハビリテーションは、日常生活の動作や歩行指導、腰痛体操や体幹の筋力訓練やストレッチの指導を行います。
手術療法
保存療法で症状の改善がない場合や筋力低下、膀胱直腸障害がある時は、手術が必要になる可能性があり、適切な専門病院へご紹介します。

腰椎椎間板ヘルニア

症状

20〜40歳代の男性に多く、腰痛、下肢の痛みやしびれを認めます。進行すると、下肢の筋力が落ちたり、尿の出が悪くなったり、尿が漏れてしまうこともあります(膀胱直腸障害)。

原因

腰の骨(腰椎)をつなぐクッションの役割をしている椎間板が、主に加齢により後ろの飛び出し、神経を圧迫することで症状が起こります。スポーツや労働などが原因の場合、比較的若い方でも発症します。

【画像】腰椎椎間板ヘルニア

検査

痛みやしびれの部位や筋力の低下、神経の異常所見がないかを診察します。
レントゲン検査で腰の骨(腰椎)の変形がないか評価します。MRI検査では椎間板や神経の圧迫を評価します。

治療

保存療法が基本になります。内服治療、注射、リハビリテーションなどを組み合わせて治療を行っていきます。

内服治療
痛みを軽減するために消炎鎮痛薬や、神経障害性疼痛の薬を内服します。
注射
ブロック注射は当院では仙骨硬膜外ブロックを行います。腰痛が強い方にはハイドロリリースなども行います。
リハビリテーション
物理療法は、温熱療法や低周波治療などの電気刺激治療を行います。
理学療法士による運動器リハビリテーションは、日常生活の動作や歩行指導、腰痛体操や体幹の筋力訓練やストレッチの指導を行います。
手術療法
保存療法で症状の改善がない場合や筋力低下、膀胱直腸障害がある時は、手術が必要になる可能性があり、適切な専門病院へご紹介します。

脊椎圧迫骨折

症状

背中や腰に強い痛みがあります。転倒や軽い外力が原因になることも多いですが、特に外傷の自覚がない場合もあり『いつの間にか骨折』と言われます。

原因

骨粗鬆症で骨が弱くなった方に多いです。若い方では高所からの転落なども原因になります。まれに、がんなどの骨転移や腫瘍などが原因になることもあります。

検査

レントゲン検査で骨折の所見を確認します。CTやMRIなどの精密検査を行うこともあります。

治療

保存療法が基本になります。

内服治療
痛みを軽減するために消炎鎮痛薬などを内服します。
装具治療
コルセットなどを作製して骨折部位を安定させます。
手術療法
症状の改善がない場合や骨折部の圧潰が強い場合は、手術が必要になる可能性があり、適切な専門病院へご紹介します。

手・腕が痛い、しびれる

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)

症状

30〜50歳代の女性で、重たいものやテニスなどのスポーツで手をよく使う人に多いです。
ものをつかんで持ち上がる動作やタオルをしぼる動作で、ひじの内側から腕にかけて痛みが出ます。

原因

加齢により肘の腱が痛んできて、ひじの外側につく手首や指の伸筋群の腱に炎症が生じます。

検査

痛みを誘発する試験(トムゼンテスト・チェアテスト・中指伸展テスト)で診断します。

【画像】テニス肘(上腕骨外側上顆炎)

レントゲン検査では異常を認めません。

治療

保存療法が基本になります。

  • 日常生活指導:重たいものの持ち方、痛みの出る動作を避けます。
  • 肘の安静、テニス肘バンドを装着します。
  • リハビリテーション:理学療法によりストレッチを行います。
  • 肘に局所麻酔薬やステロイドの注射を行います。

保存療法に効果がない場合には、手術療法を行うこともあります。

ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)

症状

ゴルフなどのスポーツで、肘の内側に痛みが出ます。

原因

スポーツや日常生活の動作による使いすぎが原因で、ひじの内側につく手首や指の屈筋群の腱に炎症が生じます。

検査

レントゲン検査では異常を認めません。

治療

保存療法が基本になります。

日常生活指導
重たいものの持ち方、痛みの出る動作を避けます。
リハビリテーション
理学療法によりストレッチを行います。

ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)

症状

女性や手・指などをよく使う人に多く、手首の親指側に痛みや腫れを認めます。親指を広げたり、動かしたりすると強い痛みが走ります。

原因

ドケルバン病は腱鞘炎の一種です。親指の使いすぎなどによる負荷のため、親指と手首をつなぐ腱や、腱鞘という腱を覆うトンネルに炎症が起きている状態です。

検査

上記の部位に痛みや腫れを認めます。親指と一緒に手首を小指側に曲げると痛みが強くなります(疼痛誘発テスト:フィンケルシュタインテスト)。レントゲン検査では異常を認めません。超音波検査を用いると、腱鞘が厚くなっていることがわかります。

【画像】ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)

治療

保存療法が基本です。
手首の安静や内服治療(消炎鎮痛薬)を行います。症状が強い場合には、腱鞘内にステロイド注射を行うこともあります。

手根管症候群

症状

手首にある「手根管」の中で手の神経(正中神経)が圧迫されている状態です。
親指から薬指と手のひらにしびれと痛みを認めます。しびれや痛みは明け方に強く、手を振ったり、指を曲げ伸ばしするとしびれや痛みは楽になります。悪化すると、親指の筋肉がやせてきます。

【画像】手根管症候群

原因

原因不明のものが多く、妊娠・出産後や更年期の女性に多く見られます。骨折や仕事・スポーツでの手の使いすぎ、透析中の人にも見られます。

検査

手首を叩くとしびれ・痛みが指先に響きます(Tinel様サイン)。手首を直角に曲げて手の甲をあわせて保持し、1分以内にしびれ・痛みが悪化しないかを見ます(誘発テスト)。
電気を用いた検査(神経伝導速度)も有用であり、超音波検査、MRIなどを行うこともあります。

治療

日常生活指導
手を酷使しないように安静を保ちます。
内服治療
消炎鎮痛薬やビタミンB12などを内服します。
注射
ステロイド注射を行います。
手術加療
保存療法で改善がない時や筋肉がやせてくる場合は、手術が必要になる可能性があり、適切な専門病院へご紹介します。

肘部管症候群

症状

肘の内側で神経(尺骨神経)が慢性的に圧迫されたり、引っ張られることで起こる神経の障害です。初期は小指・薬指にしびれを認めます。進行すると手の筋肉がやせてきたり、小指・薬指の変形が起きてきます。

原因

肘を酷使するスポーツや仕事を行う人、こどもの時の骨折や加齢による肘の変形のある人に見られます。まれにガングリオンなどの腫瘤による圧迫も認めます。

検査

肘の内側を叩くと、しびれ・痛みが指先に響きます(Tinel様サイン)。
レントゲン検査では、骨折の既往や肘の変形がないか確認します。
電気を用いた検査(神経伝導速度)も有用です。超音波やMRIで圧迫する病変がないかを確認します。

治療

日常生活指導
肘を酷使しないように安静を保ちます。
内服治療
消炎鎮痛薬やビタミンB12などを内服します。
注射
ハイドロリリースでは、尺骨神経の周囲に薬液を入れて、神経周囲の癒着を取ります。
手術加療
保存療法で改善がない時や筋肉がやせてくる場合は、手術が必要になる可能性があり、適切な専門病院へご紹介します。

ばね指

症状

更年期の女性に多く、妊娠出産期の女性や、スポーツや手・指などをよく使う人にも多く見られます。指の付け根に痛みや腫脹を認め、指を屈伸させるとバネのように動きます(弾発現象)。

原因

腱鞘炎の一種で、手の指を曲げる腱と腱を抑えている腱鞘の間に炎症が起きている状態です。

検査

指の付け根に腫れ・痛みがあり、弾発現象があれば診断は容易です。

治療

保存療法が基本です。
手指の安静や内服治療(消炎鎮痛薬)や外用治療を行います。症状が強い場合には、腱鞘内にステロイド注射を行います。再発することも多く、改善しないときや再発を繰り返す時には手術加療を行います。
手術は腱鞘の鞘を開く手術(腱鞘切開)を行います。

へバーデン結節

症状

指の第一関節(DIP関節)が変形し曲がってしまう病気です。第一関節の背側に2つのコブ(結節)ができるのが特徴です。赤く腫れたり痛みを伴うこともあります。

原因

原因は不明です。一般に40歳代以降の女性に多く発生します。手をよく使う人になりやすい傾向があります。

検査

第一関節の変形・痛みがあり、レントゲン検査では関節の隙間が狭くなったり、関節が壊れて変形性関節症を認めます。

治療

保存療法が基本です。
手指の安静や内服治療(消炎鎮痛薬)や外用治療を行います。痛い関節を固定するテーピングなども指導します。

股関節が痛い

変形性股関節症

症状

初期では、立ち上がりや歩き始めに股関節(あしの付け根)に痛みが感じます。進行すると痛みが強くなり、常に痛みが出たり夜寝ていても痛みを感じるようになります。左右の足の長さに差が出たり、歩き方に異常を認めます。

原因

多くは発育性股関節形成不全など、幼少期からの股関節の発育障害が原因になります。最近では高齢化に伴い、特に原因になる病気がない方もいます。

診断

痛みの部位や関節の動きなどを確認します。
その後レントゲン検査で関節の変形、軟骨のすり減りの度合いを評価します。痛みが強い場合や症状が長引くときには、CTやMRIなどの精密検査を行うこともあります。

治療

保存療法では、日常生活指導、内服治療、リハビリテーションなどを組み合わせて治療を行っていきます。

日常生活指導
体重管理(減量など)、階段の昇り降りなど、関節に負担のかかる動作を避けるよう指導します。
内服治療
痛みを軽減するために、消炎鎮痛薬などを内服します。
リハビリテーション
物理療法は、温熱療法や低周波治療などの電気刺激治療を行います。
理学療法士による運動器リハビリテーションでは、股関節周りの筋力訓練の指導、姿勢バランスや歩き方の修正を行い、股関節への負担を軽減します。また当院ではパワープレートというリハビリ機器を用いて、効率よく身体機能を鍛えることができます。
手術療法
上記の保存療法で症状が改善されない場合には、人工関節や骨切り術などが適応になる場合があります。その際は適切な専門病院へご紹介します。

ひざが痛い

変形性ひざ関節症

症状

高齢の女性に多く、女性では60歳代の半数、80歳以上では8割以上の方に認めます。
立ち上がりや動き始めに痛みが出現(初期)、正座や階段の昇り降りが大変になります(中期)。休んでいる時にも痛くなり、ひざの変形が目立ち、ひざを伸ばすのや歩行が難しくなります(末期)。

原因

加齢や体重の増加、骨折やひざの靭帯損傷などケガが原因になることもあります。

診断

痛みの部位や関節の動きや腫れなどを確認します。
その後レントゲン検査で関節の変形、軟骨のすり減りの度合いを評価します。痛みが強い場合や症状が長引くときには、MRIなどの精密検査を行うこともあります。

治療

保存療法では、日常生活指導、内服治療、注射、リハビリテーションなどを組み合わせて治療を行っていきます。

日常生活指導
体重管理(減量など)、正座や階段の昇り降りなどひざの負担のかかる動作を避けるよう指導します。
内服治療
痛みを軽減するために、消炎鎮痛薬などを内服します。
注射
ひざ関節は関節包という袋に包まれています。関節包の外側を関節外、内側を関節内といい、痛みの部位がどちらにあるのかを見極めて注射を行います。
関節内のヒアルロン酸注射関節外にはステロイド注射やハイドロリリースなどを行います。関節外では正確な位置に注射をするために、超音波の画像を確認しながら行います。
リハビリテーション
物理療法は、温熱療法や低周波治療などの電気刺激治療を行います。
理学療法士による運動器リハビリテーションでは、筋力訓練やストレッチの指導、姿勢バランスや歩き方の修正を行い、ひざへの負担を軽減します。また当院ではパワープレートというリハビリ機器を用いて、効率よく身体機能を鍛えることができます。
手術療法
上記の保存療法で症状が改善されない場合には、人工関節や骨切り術などが適応になる場合があります。その際は適切な専門病院へご紹介します。

半月板損傷

症状

スポーツをする若者や中高年の方に多い病気です。
ひざを動かしたときに痛みや引っかかる感じが出現します。悪化するとひざが腫れたり、半月板が引っかかり動かなくなる「ロッキング」という状態になります。

原因

ひざ関節のクッションの働きをする半月板が、強い衝撃やひねりで損傷します。また加齢に伴い半月板自体が徐々に傷んでいき、軽い動きや衝撃でも損傷することがあります。

診断

確定診断はMRI検査になります。

治療

保存療法では、消炎鎮痛薬の内服や注射、リハビリテーションがあります。

リハビリテーション
物理療法は、温熱療法や低周波治療などの電気刺激治療を行います。
理学療法士による運動器リハビリテーションでは、筋力訓練や柔軟性の向上を目的としたストレッチの指導を行い、ひざへの負担を軽減します。
手術療法
上記の保存療法で症状が改善されない場合やロッキングなどの症状がある場合には、関節鏡を用いて断裂した半月板を縫合したり切除します。その際は適切な専門病院へご紹介します。

足が痛い

外反母趾

症状

女性に多く、加齢とともに変形が増悪します。特徴的な症状は、足の親指の先が、人差し指の方に「くの字」に曲がり、親指のつけ根の関節が突き出して痛みを認めます。
体重が人差し指と中指のつけ根にもかかるため、足の裏に魚の目やたこができます。

【画像】外反母趾

原因

外反母趾の一番の原因は靴であり、幅の狭いつま先が細くなった靴を履くと、親指のつけ根から先が圧迫されて変形します。ヒールの高い靴はつけ根にかかる力が増え変形を強くします。親指が人差し指より長い人や小さい頃から扁平足のある人は外反母趾になりやすい特徴があります。中年以降は体重の増加や筋力低下も原因になります。

検査

レントゲン検査で、外反母趾の程度を評価します。

治療

  • 靴の指導(先端部が広い、足が前後に滑らない、ハイヒールを避けるなど)
  • 運動療法:足の指の筋肉を強化します(足指じゃんけん・タオルギャザーなど)。
  • 装具や足底板の作製
  • 変形が進行し疼痛が強い場合には、手術加療を行うこともあります。その際は適切な専門病院へご紹介します。

扁平足

症状

幼児の頃から扁平足があり大人になってもそのまま残っているタイプでは、痛みはあまり認めません。これに対して中年以降に徐々に発症する扁平足では、足の土ふまずが徐々になくなり、内側のくるぶしの下が腫れ、痛みが出ます。変形が進むとつま先立ちがしにくくなり、足が硬くなり歩行にも支障を認めます。

原因

足にはアーチ構造があり効率よく体重を支えています。内くるぶしの下を通る後脛骨筋の腱が、足のアーチを保つ働きをします。加齢や体重の増加でこの腱が変性したり断裂すると、アーチが低下して扁平足を発症します。

【画像】扁平足

検査

レントゲン検査で、扁平足の重症度を判定します。

治療

保存療法が基本になります。

運動療法
足の裏の筋肉を強化します(足指じゃんけん・タオルギャザーなど)。アキレス腱のストレッチ指導。
足底板の作製
アーチサポート付きの足底板を使用します。

外脛骨障害

症状

外脛骨は足の骨(舟状骨)の内側にある過剰骨で、約15%の人に存在します。
10〜15歳の運動量の多い女子に多く見られます。足の内側に痛みが出ます。

原因

思春期のスポーツ活動や成人でも足関節の捻挫などで、外脛骨と舟状骨の線維軟骨結合の損傷が起こります。

検査

レントゲン検査で、外脛骨の有無を評価します。

治療

保存療法が基本になります。

  • 運動療法:足の内側の腱のストレッチ指導。
  • 足底板を作製します。

足底腱膜炎

症状

足底腱膜と呼ばれる足の裏にある腱膜が炎症を起こした状態です。足の裏(かかとや土ふまずなど)に痛みを認め、朝寝起きから初めて歩く際や急に立って歩く際などに痛みが増悪します。

【画像】足底腱膜炎

原因

  • 強い衝撃が加わるスポーツ:陸上や長時間歩き続けるなど、繰り返しの衝撃が加わること
  • 足のアーチが崩れている:ハイアーチや扁平足では、足の裏に不均等なストレスが加わります。
  • ふくらはぎやアキレス腱が硬い:腱・筋肉が硬いと足の踏み返しの際に足底腱膜に負担がかかります。

検査

足の裏の痛みや腫れのある部位を確認します。
レントゲン検査では骨に異常は認めません。

治療

保存療法が基本になります。

運動療法
足の裏の筋肉を強化します(足指じゃんけん・タオルギャザーなど)。ふくらはぎやアキレス腱のストレッチを指導します。
足底板の作製
アーチサポート付きの足底板を使用します。
注射
超音波を用いて、足底腱膜にステロイド注射を行います。頻回の注射は、組織をもろくするため、行っていません。

痛風

症状

30〜50歳代の男性に多く、血液中の尿酸値が高い状態が継続すると発症します。急に足の親指のつけ根が赤く腫れて痛みが出ます。足の親指以外にも、足首、足の甲、アキレス腱、ひざ、手首などにも痛みが出ることがあります。

原因

血液中の尿酸値が上昇すると関節の中に尿酸の結晶が生じ、痛風発作(関節炎)が起こります。尿酸値が高い値が持続すると、尿酸結石が腎臓にでき腎臓の機能が悪化して腎不全になります。

【画像】痛風

検査

確定診断は発作中の関節の中に尿酸結晶を認めることです。通常は尿酸値が高く、特徴的な症状があれば診断は可能です。

治療

予防方法は、規則正しい生活、バランスの良い食生活が大切です。
発作時には、まず消炎鎮痛薬で痛みを軽減させます。
発作が治まってから、尿酸値を下げる薬を開始します。定期的な血液検査で尿酸値を測りコントロールしていきます。治療開始後は、尿酸値が6以下を目指します。
発作が起こらないからといって、薬を勝手に中止してはいけません。自己中断して再発作を起こす方が非常に多い病気です。